21世紀に必要なスキル『6Cs』

21世紀は、指を動かせば、情報にアクセスできる時代です

図書館に行って書庫を探さなくとも
書斎で電話線につないだPCを起動しなくとも

欲しいと思った時に、手元のスマートフォンで、サクッと情報をとることができます

覚えている情報量で重宝される時代は終わりました
(暗記がまったく無駄だと言っているわけではなく、それだけでは不十分だということです)

では

どんなスキルがあれば、21世紀を幸せに暮らすことができるでしょうか

その答えが6Csです

6Csとは何か、こちらの記事を見ていただければ、理解することができますので、
ぜひ最後までご覧ください。

目次

6Csとは

6Csとは、アメリカのキャシー・ハーシュ=パセックとロバータ・ミシュニック・ゴリンコフが、
子どもたちの将来の「成功」に必要なスキル(新たな教育モデル)として提唱した概念です

参考:

キャシーとロバータが定義する成功とは
「健康で、思慮深く、思いやりがあり、他社と関わって生きる幸せな子どもを育て、皆が他者と協力し、創造的で、自分の能力を存分に発揮する責任感溢れる市民となる」ことです

一流大学に入学して、大企業に入社することでもなければ
大金持ちになることでもありません

この成功に必要なスキルが6Csです。

6Csについて丁寧に理解し、考察することで、子育ての指針になるばかりでなく、
パパママが自分自身の生き方を見つめ直すきっかけにもなるかもしれません。

キャシーとロバータは6つのスキルに対して、さらにレベル1~4を定義しました。
どういう段階を経て成長するのかを理解する助けになります。

Collaboration

言うまでもなく、ヒトは社会性が高い生き物です。

21世紀に社会に出て活躍する上で、協同できる力、Collaborationする力がとても重要なことは異論の余地がないでしょう。

Level
自分自身がすべて仕切る

自己調整ができないばかりに、自分勝手に振る舞い、コラボレーションには及ばない状態。

Level
横並びで勝手に進める

私は私 あなたはあなた 関わり合わない関係

例えば、砂場で2人の子どもが、それぞれ自分のお城を作っている場面
別々に遊ぶことで、お互いの城に手を出すことはしません。
そうやって自分の衝動をコントロールしているという点で、レベル1からは成長しています。

教室でそれぞれが問題を解いている状態や、集まって携帯型ゲームをそれぞれプレイしているなども同様です。

Level
やりとりしながら進める

レベル3になると、子供達は大まかに決められた共通の関心に向かい始める。

相手に興味を持ち、話し合い、協力しようとします。
助け合うことでいいことがある、と学ぶことができます。

レベル3のコラボレーションを家庭で実現する機会として、
共にプロジェクトを行うのがいいとしています。
一緒に夕食をつくる。旅行の計画を立てる。など

但し、命令する人とされる人という関係にならずに、お互いを尊重し合うことが注意点です。

Level
それぞれの強みを活かし弱みを補う

目的を共有し、共に作り上げることを目指します。
お互いの状況や、強み弱みを良く理解した上で、
どのようにすれば目的を達成できるか考え、協力することができるような状態です。

Communication

Collaborationするためには、効果的なCommunicationが必要です。
話すことで自分のメッセージを他者に理解してもらう。
明確に書き表すことで書いたことが伝わる。
そして人の言うことに耳を傾ける。

グローバル経済の世の中だからこそ、コラボレーションすること、情報を共有すること、そして他の人を説得するためのコミュニケーションスキルが必要です。

Level
感情をむき出しにする

赤ちゃんがお腹がすいたら泣く
欲しいものを指さす

言葉をしゃべれない赤ちゃんは、こうしてパパママとコミュニケーションを取り、自分の想いを実現します。

言葉をしゃべれる大人でも、このようなコミュニケーションを取ってしまう人がいますよね。
機嫌が悪いことをあからさまに表に出し、人を寄せ付けない
拗ねたような態度を取って、気を引く

などです。

こうした態度を取る人が、上手くチームでコラボレーションすることはできないでしょう。

Level
一方的に見せびらかし、おしゃべりする

他者がどう思うかに関心がなく、自分が話したいように話せれば満足という状態がこれです。

私が経営するプログラミングスクールLでも、小学校低学年の子どもは、このレベル2の状態が多いです。
セッションの中で、他の子どもの話をアクティブリスニングし、質問する訓練をすることで、
少しずつレベル3、4にステップアップしていきます。

Level
対話によってやりとりする

レベル3でコミュニケーションするには、相手の立場を配慮できる必要があります。
自分の理解はこうだけど、相手は前提がないから、前提から話さないと伝わらないなと配慮できること。

Level
対話によって互いが満足するストーリーを作る

ここまでできれば、1+1が10にも100にもなります。

Content

ローマ帝国時代の歴史家プルタルコスは「教育とはバケツをいっぱいにすることではない。火をつけることだ」と言いました。

スマホであらゆる情報が瞬時に手に入る時代に、
未だに、バケツをいっぱいにすることにばかり集中していないでしょうか。

Level
特定の状況について限定的に理解する

ただその知識を覚えるだけで、意味について理解しない。
意味を理解しないので、他の場面で応用することができない状態。

Level
広く浅く理解する

レベル2になるとレベル1よりも関心を持つ範囲が広がり、より多くのトピックを知る。

レベル2による思考の特徴は、正しいか間違っているかのどちらかに色分けしようとすることです。

Level
コンテンツ同士をつなげて考える

レベル3のような学びを得る条件は、自ら率先して行い、没入して関与し、意味を見出し、社会的に関わり合うことと学習科学の世界で言われています。

学んだことを劇にして上演したり、皆の考えを一枚の紙にまとめて表現したり、寄付を募るための文章を書いたりすることなどが、良い学びを得るための活動だと言えます。

Level
専門領域について熟知し直感が働く

レベル4は、既存の知識を活かして新しい方法を思いつく状態です。

理解したこと、思いついたことを、すぐに新しい問題に応用し、新しい関係をつくり出すことができます。

学力テストや入試のために学ぶように子どもを追い込むと、レベル2に留まっている状態だと言えます。

より深い学びを得るように促すには、現実の問題と繋げて、学んだことをより深く理解できる場を設けてあげることが重要です。

Critical Thinking

ビッグデータ時代において、クリティカルシンキングは、欠かせないスキルの一つです。
本当にそうだろうか、こういう見方もあるんじゃないかと考えることができないと、情報の波に流され、よい成果を挙げることができないからです。

クリティカルシンキングとは、「理にかなった妥当な判断」だと言いかえることもできます。

Level
見かけをそのまま信じる
Level
自分の答えを絶対に正しいと信じる

レベル2になると、人々がそれぞれの異なる視点を持っていることを理解できるようになります。
ただし、自分の答えこそが正解で、それ以外は間違っていると判断する。

Level
色々な意見・立場をどれも正しいと捉える

レベル3になれば、人はそれぞれの正解を持っていると考えることができます。
この場合、どれも正しく思え、権威ある人が言ったり、周りが言っていたりすると、その意見に流されてしまいます。

Level
根拠に基づき熟慮して上手に疑う

レベル4に移行することでようやく、どの答えが他の答えより優れているのかを評価できるようになります。
事実と主張を分けて捉えることができ、判断できるようになるのです。

このレベル4に到達しなければ、情報化社会で活躍することは難しいですが、実際にはレベル4に達している人は多くはありません。
つまりそれだけでも差が付くということです。

子育てにおいてできることは、まず子どもと、子どもの意見を尊重すること。

そして、子どもが発する素直な問いを真剣に受け止めれば、子どもは安心して問い続け、目の前の情報に囚われずに広く深く考えようとするようになるでしょう。

クリティカルシンキングは自分自身がどうしてそう考え、感じたのか問いかけることによって磨かれます。

Creative Innovation

Level
とりあえず試す、やってみる

子どもは、世の中の慣例や制約を理解する前に、様々に遊ぶが、この遊びにこそイノベーションの芽がある。
このときにどう子どもと関わるかは非常に重要です。

高崎卓馬さんの絵本「まっくろ」では、
ひたすら画用紙を黒く塗りつぶす子どもと、困惑する大人たちが登場し、
最後はつなぎ合わされた大量の黒い画用紙から思いもよらない絵が浮かび上がります。

ついついおとなの尺度で、”変な”ことをしていると評価してしまい、やめなさいと止めてしまう

黒い絵じゃなかったとしても、どんなパパママでも経験があるかもしれません。

Level
手段と目標を考える

レベル2になると、ただ闇雲に取り組むのではなく、目標を考え、その達成のための手段を考えるようになる。

エリザベス・ボナビッツの実験

幼児に、チューブ、管、鏡、板がついているおもちゃを見せた。
一方のグループには、あらかじめ大人が用意したおもちゃとして、遊び方の例を教えた。
もう一方のグループには、「わあ、おもちゃ見つけちゃった」と今見つけたように見せ、
こんな風に遊ぶんだとあたかも今遊び方を発見したように見せた。

前者のグループの幼児は、大人が示した遊び方例に沿ってひたすら繰り返し遊んだ。
一方、後者のグループの幼児は、色々試して、より多くの遊び方を見つけた。

この実験から、おもちゃの与え方次第で、子どもの創造性を刺激することができると分かる。

Level
独自の「声」を発見する

イノベーションのレベルを上げるには、特殊で先天的な力が必要なわけではないとしています。
あるときパッと天から降ってくるようなものではなく、
スキルや技術、特定の分野への深い知識を前提として、
点と点がつながる瞬間が訪れるというイメージです。
スティーブ・ジョブズがいう「Connecting Dots」ですね。

ちなみに、スティーブ・ジョブズのConnecting Dotsはこちらの動画で観ることができます。

つまり、イノベーションを起こすには、努力をして、準備する必要があるということです。
そうすると、ある時自分自身の「声」(点と点がつながり、独自の発想が生まれる)を聞くことができるようになります。

Level
変革についての大きなビジョンを持つ

レベル3では、努力を前提として、ある時、自分の声が聞こえる状態でした。

しかし、それだけでは、大々的なイノベーションを起こすには不十分です。
なぜかというと、イノベーションを起こすには、様々な壁が立ちはだかるからです。

「こんなものを作ったら笑われる」といった他人の評価を恐れる気持ち
実際に他の人に見せたときの反発
協力者の無理解

などの壁です。

  • ハリーポッターは、多くの出版社に受け容れられませんでした
  • 現在では当たり前のゼロックス式コピーは、投資家を見つけるのに8年かかりました。

イノベーションを完遂するには、明確なビジョンを持ち、それを共有すること
これこそがレベル4の大きなポイントです。

MITのエリック・ブリニョルフソン , アンドリュー・マカフィー が「機械との戦争」で述べているように、
デジタル技術が向上すれば、多くの課題を機械がこなしてくれるようになるので、
問題解決能力と想像力を持たないと仕事を得ることができないということになります。

これから世界中で求められるのは、難題に直面した時に、知っていることをうまく活用しながら柔軟に新たな可能性を見つけ出そうとする人です。

こういう人になるには、知識を浅く覚えるだけでなく、意味のある形で深い知識を得ることと、失敗を恐れずになんでも取り組んでみる経験、それに裏打ちされた自信が必要です。

その自信が次に説明する6つ目のCです。

Confidence

思い切って試し、粘り強く取り組むのがConfidenceです。

Level
根拠なき自信を抱く

根拠なき自信は、認知的に未発達な幼少時代に見られる状態です。
何でも知り過ぎている大人は、根拠なき自信を持つことが難しいですが、
幼少期は、よく知らないからこそ、粘り強く取り組む向こう見ずな自信が生まれます。

だからこそやってみることができるのです

子育てにおいて重要なのは、この「やってみる」に対して、出来る限り止めずに見守ることです。

失敗するだろうな
手をぶつけてケガするかもな
このままだとおもちゃが壊れるかもな

と思って止めてしまっては、折角の学ぶ機会を奪ってしまうことになります。

もちろん、大けがをするようなことや命に関わるようなことは全力で止める必要がありますが、
多少モノが壊れたり、擦り傷程度だったら、やらせてみることです。

Level
自分の実力を相対的に見極める

発達が進むと、自分のことを相対的に見るようになります。

クラスの中で、あの子よりは得意だけど、あの子ほどはできないな
などです。

しかし、人と比べて「自分はどの位置にいるか」という思考に終始していると、
大きな自信には育っていかないので注意が必要です。

そこで、この時期にどのように褒めるかがとても重要になってきます。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエックの発見によると
努力したことではなく能力の高さを褒められた時、
その評価を下げまいと、より難しい課題に挑戦しなくなる
といいます。

一方で、能力ではなく、その過程や努力を評価した場合、
より難しい課題に挑戦したとしています。

つまり、自分の能力レベルを気にすると
課題や状況がそれを超えている場合、
挑戦せずに避けようとしてしまう
ということです。

Level
新しい取り組みのリスクを計算する

日々の生活のなかで、様々なリスクを考え、計算するようになる。

新しい課題をやってみるリスク
ここからジャンプしたときのけがのリスク
・・・

リスクを計算した上で、新しいことにチャレンジするようになるには、
日々の接し方、声掛けがとても大事です。

子どもが失敗しないように、手を差し伸べたり、安全な道に誘導したりしては、
いつまで経っても自信は形成されないでしょう。

Level
熟慮した上で失敗に怯まず挑戦し続ける

Confidenceの最終段階は、失敗を覚悟して挑み続けることです。
失敗することで、反省し、成長することは、言わずもがなでしょう。

就職や、転職の面接で、面接官が失敗したコトを聞くのもそのためです。

自分の安全圏から飛び出して、挑戦することで、成長していきます。

まとめ

6Csについて見てきました。
6つのうちどれかができればいいというようなものではありません。
6つが有機的につながり、一つの人格をつくりあげます。

「勉強はできるのに、社会に出て活躍できないタイプだよね」

という評価は、昔からあると思います。
Contentだけができているという状態ですね。

でもこれっておかしくないですか?

子どもの頃は、勉強をがんばれってさんざん言われてきて、
素直にがんばってきたのに、
社会に出ると、役に立たず、幸せを感じられない。

本来的には、学校は、社会に出て活躍するための準備機関であるはずです。

21世紀に活躍するためには、21世紀にあった教育が必要だと思います。

いかがでしたでしょうか。何か一つでもご参考になれば幸いです。

SNS等でシェアして頂けるととても励みになります。

私は、将来につながる「プログラミング」教育を、日本中の子どもたちが平等に受けられるようにしたいと思っています。

今のままでは一部の学校の子どもたちだけがそのメリットを享受し、そうでない子どもたちは置いてけぼりになってしまいます。

これ以上教育格差が拡大してしまうのは、何としても止めなければなりません。

この新しいチャンスをすべての子どもたちへ

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この記事を書いた人

こんにちは。もつです。

小学生向けプログラミングスクール「プログラミングスクールL」を経営しています。
プログラミング教育は、子どもの将来を変え、社会を変えるという信念のもと、日々子どもと向き合っています。

妻、息子、娘の4人家族
プロ野球観戦が趣味(横浜DeNAベイスターズのファン)

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