伊那小訪問記

これからの社会で活躍するための教育をされている伊那小を訪問してきました。

伊那小の前で記念撮影
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伊那小とは

伊那小とは、長野県伊那市にある、伊那市立伊那小学校のことです。一般的な公立の小学校なのですが、数々のメディアで取り上げられるスーパー小学校なんです。

一番の特長は教育課程(カリキュラム)で、総合学習・総合活動が中心に据えられており、子どもたちの自発的・能動的な活動を通じて学習する機会が提供されています。そんな、これからの社会で活躍するための教育をされている伊那小学校を直接訪問し、通っている子どもおよび保護者にインタビューさせていただきました。

ちなみに伊那市は、長野県南部に位置し、南アルプスと中央アルプスに囲まれ、中央に天竜川や三峰川が流れる自然豊かな人口約7万人の都市です。

奇跡の公立小学校

私が伊那小のことを知ったのは、映画「夢みる小学校」 がきっかけでした。夢みる小学校は、文部科学省選定映画として、日本各地で上映されている映画です。この映画では3つの学校が紹介されていて、そのうちの1校が伊那小学校でした。

3つの学校に共通するのは、とにかく子どもファーストだということ。いろんな個性をもった子どもが、それぞれの個性、好奇心、価値感を尊重され、わくわくのびのびと成長していける、そんな環境がそこにはあります。

「自主性をはぐくむ」なんて言葉はいろんな学校で聞かれますが、ほとんどはウソだと思っています。先生の言われた通りにすることを求められる画一的な授業、重箱の隅をつつくような採点をされる漢字テスト、通知表や偏差値で自信や意欲を失う子どもたち、そんな”ひどい”教育が何十年も続いているのが日本です。

そんな中にあっても、独自の教育を60年以上も続けている奇跡の公立小学校が伊那小学校なのです。

聞いて分かった主体的でオーセンティックな学び

今回の訪問では、実際に通っている子どもとその保護者にインタビューをさせていただき、普通の学校ではやっていないさまざまな取り組みを知ることができました。

音楽会も普通とはひと味違います。音楽会と言えば、課題曲をみんなで練習して、歌ったり、楽器を弾いたりすると思います。伊那小の場合は、子どもたち自身で作詞をして、それを先生が曲に乗せ、その曲で歌うんだそうです。

自分たちで作詞をして、それが曲に乗る、そんな経験が小学生でできるなんて、とても貴重だなと思いました。先生の能力高すぎでしょ。

与えられた出来合いの曲を歌わされるのと違って、自分たちの想いも乗りますから、作詞活動含めてとても主体的な取り組みになりそうです。

その他にも、子どもたちがつくったかるたで日本語を学ぶ取り組みなどがあるそうです。

ヤギのえさ代は自分たちで稼ぐ

伊那小学校の敷地の一角に、ポニーとヤギの小屋があります。もちろんこうした動物の世話も先生任せではなく、子どもたちが中心になって行います。訪問したのは冬休み期間中でしたが、高学年の子どもが学校へ来て世話をしていました。

伊那小のポニー

ヤギが暮らす小屋も子どもたちのお手製で、1年生からトンカチを叩いて小屋を作るそうです(都市部の小学校だったら、”そんなことをしてけがをしたらどうしてくれるんだ”と保護者から怒られそうですね)。ヤギのお世話をするにもお金がかかりますが、そのお金ももらってくるのではなく、自分たちで商売をして稼ぐというから驚きです。

地域の人が学校へ来るイベントのときに、レモネードなどをつくって販売し、その売上金をえさ代などに充てるそうです。

経済活動の基本のキを学ぶ、まさにオーセンティックな取り組みですよね。こんな経験を小学校でできるなんて、ほんとに羨ましい。

こういった文化祭のようなイベントは、年一回ではなく日常的にあるようで、子どもたちが発案し、開催されるそうです。

先生にお膳立てしてもらって、言われた通りにやる、普通の小学校とは大きく異なると感じました。そして言うまでもなく、これからの時代に求められるのは、言われた通りにこなす力ではなく、自ら手を挙げて、仲間と協力しながら、自分たちで作り上げる力です。

お行儀よく、言われた通りに、効率よく、正確に処理する
ってAIの得意分野ど真ん中ですからね。そんな人になっても、AIより安い値段で働くことしかできません。でも、今もなお全国津々浦々の学校では、AIの劣化版人材(はちょっと言い過ぎですが、それに近い人たち)が量産されています。

伊那小で行われているような教育が全国に広まることを、切に願います。

こぼれ話

伊那小は公立小学校ですので、教員は他の学校と入れ替わります。長野県の教員の間では、伊那小の評判がよくないそうです。なぜかというと、固定されたカリキュラムがなく自分の頭で考えないといけなくて大変だからだそうです。(それこそ教員の仕事の醍醐味じゃないの!?と突っ込みたくなりますが、)そんな教員の方々の努力によって、伊那小が伊那小たりえているようです。

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この記事を書いた人

こんにちは。もつです。

小学生向けプログラミングスクール「プログラミングスクールL」を経営しています。
プログラミング教育は、子どもの将来を変え、社会を変えるという信念のもと、日々子どもと向き合っています。

妻、息子、娘の4人家族
プロ野球観戦が趣味(横浜DeNAベイスターズのファン)

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