Social and Emotional Learning
社会性と情動の学び
イエール大学のロジャー・ワイズバーグ教授と、モーリス・エリアス教授によって開発されました。
SELの定義
エリアス教授によると
SELは、我々が感情に気付き、コントロールできるようになるためのプロセスである。
他者に対して心をくばり、良い決断により倫理観と責任感にあふれる行動をし、
良い関係性を築き、ネガティブな行動を避ける学びだ。
edutopia https://www.edutopia.org/social-emotional-learning-history
としています。
ハーバード大学のイーゼルラボの定義を引用すると
What is SEL?
Social and emotional learning (SEL) has often been used as an umbrella term to represent a wide array of non-academic skills that individuals need in order to set goals, manage behavior, build relationships, and process and remember information. These skills and competencies develop across our lives and are essential to success in school, work, home, and community.Generally speaking, this set of skills can be organized into three interrelated areas: cognitive, social, and emotional.
Importantly, these skills and competencies develop and are in dynamic interaction with attitudes, beliefs, and mindsets as well as character and values, all of which are fundamentally tied to characteristics of settings.
http://exploresel.gse.harvard.edu/about/
SELは、幅広い、non-achademic skills (学校で従来教えている認知能力に対しての、非認知能力)を表す、概念である。そして、学校や、職場、家庭、コミュニティにおいて成功する上で、極めて重要なスキルである。
と定義しています。
米国ではSELを推進する機関として、1994年にCASELが設立され、
日本では、株式会社rokuyouの下向さんが、日本SEL推進協会を設立されました。
その後、研究が進み、SELのフレームワークがいくつも開発され、広がりを見せています。
CASELのSELの定義
We define social and emotional learning (SEL) as an integral part of education and human development.
https://casel.org/fundamentals-of-sel/
SEL is the process through which all young people and adults acquire and apply the knowledge, skills, and attitudes to develop healthy identities, manage emotions and achieve personal and collective goals, feel and show empathy for others, establish and maintain supportive relationships, and make responsible and caring decisions.
SEL advances educational equity and excellence through authentic school-family-community partnerships to establish learning environments and experiences that feature trusting and collaborative relationships, rigorous and meaningful curriculum and instruction, and ongoing evaluation. SEL can help address various forms of inequity and empower young people and adults to co-create thriving schools and contribute to safe, healthy, and just communities.
SELでは、次のようなスキルを身につけるとしています。
- 健全なアイデンティティを確立すること
- 感情をコントロールすること
- 個人あるいはグループとしてのゴールを達成すること
- 他者に共感し、それを示すこと
- 協力的な関係を構築して、維持すること
- 責任感と思いやりがある決定をすること
SELはなににつながるのか
SELプログラムを通じて、非認知能力を高めることで、態度や心の在り方が変わるだけでなく、
学力向上にもつながるという点は、注目すべきポイントです。
CASELが2011年に実施した調査によると、SELのプログラムに参加することで以下のような結果を得られたとのことです。
参照:CASEL The Benefits of SEL
https://casel.org/fundamentals-of-sel/what-does-the-research-say/
- 11%の学力向上
- クラスにおいて、行動の改善、ストレスやうつを管理・コントロールする能力の向上、自分自身や他者への態度の改善
SELフレームワーク
CASELが提唱し、世界的に最も利用されているフレームワークは、5つの資質と4つの環境からなります。
クラス、学校、家庭、コミュニティといった、外周に表現される4つの環境(要素)による働きかけによって、中心の5つの資質が育まれるという考え方です。
これは職場に当てはめる場合には、クラスや学校ではなく、所属するチームや会社ということになるかもしれません。
「こんな授業をすればSELの資質が育まれるんだ」という授業の仕方に留まらないという点がポイントですね。
まとめ
21世紀は、AIやRPAが仕事をする時代です。
従来のように、教えられたことを暗記して、正答率を競うような教育では、幸せに暮らすことができないのは、誰しも薄々気付いています。
心の持ちようや、他者や社会との関わり、も含めて、全般的な教育(ホール・チャイルド・アプローチ)が必要です。
その重要な概念である、SELについて解説しました。
いかがでしたでしょうか。何か一つでもご参考になれば幸いです。
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私は、将来につながる「プログラミング」教育を、日本中の子どもたちが平等に受けられるようにしたいと思っています。
今のままでは一部の学校の子どもたちだけがそのメリットを享受し、そうでない子どもたちは置いてけぼりになってしまいます。
これ以上教育格差が拡大してしまうのは、何としても止めなければなりません。
この新しいチャンスをすべての子どもたちへ