「プログラミング」という科目があると思っていませんか!?スクール経営者が語るプログラミング授業の内容と実態

「プログラミングの授業が始まっているけど、どんなことしてるの?」

「学校の授業ってどれぐらい進んでいるの?」

「学校の授業だけで大丈夫なの?」

こういった疑問にお答えします。

こんにちは
大阪で小学生向けプログラミングスクールを経営しているもつandです。
小学校におけるプログラミングの実態について、客観的データに基づき、専門家としての意見も添えながら、分かりやすくお伝えしようと思います。
是非最後までご覧ください。

目次

プログラミング教育を実施しているのはわずか47.5%

プログラミング教育実施状況

特定非営利活動法人 みなのコードが2021年7~8月に実施した「プログラミング教育実態調査」によれば、プログラミング授業を実施したことがあるのは、約47.5%でした。

必修化されてから1年以上経っていてもこの状態です。

これは教育格差と言わざるを得ません。

小学校のプログラミング教育とは?

では、そもそも小学校におけるプログラミングとは何なのでしょうか?

  • 「プログラミング」という教科があるの?
  • プログラミング専門の先生がいる?
  • プログラミング言語を習得するの?
  • プログラマ―を目指すってことなの?

実はこれらはすべてNOです。

えっ。そうなの!?

「えっ」と思われた方、大丈夫です。

このことを正しく理解されている保護者の方は、ほとんどいらっしゃいません。

「それぐらい知っている」と思われた方はすごいです。さすがです!

こんな大事なことは知らないのに、福原愛さんの不倫は誰しもが知っています。
(マスメディアのせいかもしれません)

そんな訳でこの記事で正しい情報をお伝えします。

「プログラミング」という科目があるわけではありません

小学校段階のプログラミングに関する学習活動の分類

文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm)より
  • A.学習指導要領に例示されている単元等で実施
  • B.学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施
  • C.教育家庭内で各教科等とは別に実施
  • D.クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育家庭内で実施

A、Bはいずれも、国語、算数、理科、社会などの他の科目の中で実施することを指しています。
Cは総合的な学習の時間などを指しています

Dは放課後のクラブなどです

つまり、「プログラミング」という科目やそのための指定教科書はなくどんなことを教えるかについても指定されているわけではありません
教科書や時間数の指定もありません。

他の科目と違い、学校側に委ねられている範囲が大きいということです。

権限移譲がされていると捉えることもできますが

私は、学校や先生の方針、力量次第で格差が大きくなってしまう と捉えています。

前述の通り、プログラミング教育を実施しているのは半数未満です。

非常に進んでいる小学校もあれば、「コロナでそれどころじゃないんです」のような小学校もあります。

こんな状態では、特に公立小学校に通わせている保護者の皆さまは不安になりますよね?

文部科学省の統計によれば、全小学生の約98.2%(平成29年)は公立小学校に通っています。

地域間格差については、こちらで詳しく分析しております。

プログラミング専門の先生がいるわけではありません

皆さんご存知の通り、小学校の先生はオールラウンダーです。

国語も算数も他の科目も、基本的に担任の先生がすべて教えます。
スポーツで例えるなら、大谷翔平選手×池江璃花子選手×久保建英選手×高梨沙羅選手といった感じでしょうか

とにかくすごいということです

プログラミングについても、担任の先生が教えることになります。

ご想像通り、多くの先生はプログラミング未経験者です。

(もちろん、プログラミング未経験だからといって、プログラミングを教えることができないわけではありません。
特に小学校でのプログラミングは、未経験者でも教えることができると思っていますし、ご家庭での指導が広がるように当メディアを運営しています。)

じゃあ、研修などで十分に準備できる環境にあるか、というと決してそうではありません。


「プログラミング教育実態調査」によれば、7時間以上の研修を受講した先生はわずか9.6%でした。22.2%はまったく受けていません。
(怠慢だというわけではなく、それだけ忙しいか環境が整っていないということだと思います)

そんなわけで、研修なども十分に受けられず、実施に二の足を踏んでいる場合も考えられます。

*余談ですが、2022年度からは小学校でも、高学年に「教科担任制」が導入される見込みとなっています。
高学年のみですし、時間が掛かりそうだなと想像しています。

小学校で2022年度から高学年に「教科担任制」が本格導入される見込みだ。これまで小学校は1人の教師が担任する学級ですべての科目を教える「学級担任制」を採用してきたが、高学年では教師の負担が大きいことなどから、中学校のように各科目を専門とする教師が教えることになった

参照:日本経済新聞 「小学校、教科担任制導入の課題」

Scratchなどプログラミング言語を習得することが目的ではありません

プログラミングに取り組むことを通じて、児童がおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりするといったことは考えられますが、それ自体をねらいとしているのではない

照:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)

とある通り、プログラミング言語の習得自体を目的としているわけではありません。

言語の習得を目的としないということに、私も賛成です。
プログラミング言語自体は、日々進化するものですし、多くの人にとって、プログラムを”書けるようになる”必要はないと思うからです。

じゃあ、ねらいは何なのか?

プログラミング教育のねらい

参照:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)
  • プログラミング的思考を育むこと
  • プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと
  • 各教科等での学びをより確実なものとすること

長いので、私なりに書き換えると

プログラミング教育の狙い
  • プログラミング的思考を育むこと
  • 身の回りでどのようにプログラミングが使われているかを知ること
  • プログラミングを使って課題解決しようとする思考を身につけること
  • プログラミングを他の科目の学びに生かすこと

と解釈しています。

じゃあ、プログラミング的思考って何なのか

プログラミング的思考とは

まずは文部科学省などからの文献をご紹介します

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

参照:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)

未来を拓いていく子供たちには、情報を主体的に捉えながら、何が重要かを主体的に考え、見いだした情報を活用しながら他者と協働し、新たな価値の想像に挑んでいくことがますます重要
(中略)
将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」

参照:中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」(平成28年12月21日)

「プログラミング的思考」は、急速な技術革新の中でプログラミングや情報技術の在り方がどのように変化していっても、普遍的に求められる力である。

参照:小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議「議論の 取りまとめ」(平成28年6月16日)

プログラミング的思考は、

「どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる」もの

というのがとても大事なポイントです。

プログラマ―だけじゃない
IT関係だけじゃない
サラリーマンだけじゃない
ホワイトカラーだけじゃない

ということです

この記事で一番強調したいポイントです。

もう一度言います

どのような職業、どのような時代でも求められるもの

まだまだ伝えきれていないですが、長くなったので、ここで一旦終わりにします。

まとめ

まとめ
  • 小学校のプログラミング教育は、まだ半数程度しか実施されていない。
  • 「プログラミング」という科目があるわけではなく、教える内容は学校や先生に委ねられている部分が大きい。
  • プログラミング的思考を養うことが目的で、それはどのような職業、どのような時代でも求められるものである。

いかがでしたでしょうか。何か一つでもご参考になれば幸いです。

SNS等でシェアして頂けるととても励みになります。

私は、将来につながる「プログラミング」教育を、日本中の子どもたちが平等に受けられるようにしたいと思っています。

今のままでは一部の学校の子どもたちだけがそのメリットを享受し、そうでない子どもたちは置いてけぼりになってしまいます。

これ以上教育格差が拡大してしまうのは、何としても止めなければなりません。

この新しいチャンスをすべての子どもたちへ

参照情報

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この記事を書いた人

こんにちは。もつです。

小学生向けプログラミングスクール「プログラミングスクールL」を経営しています。
プログラミング教育は、子どもの将来を変え、社会を変えるという信念のもと、日々子どもと向き合っています。

妻、息子、娘の4人家族
プロ野球観戦が趣味(横浜DeNAベイスターズのファン)

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